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★世界で一番冷たい貧困大国ニッポンシリーズ★


友人からこんなメールが届きました。
とても参考になるので、掲載しますね。


―――以下見出し―――
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載①
手厚い生活保護がある米国、保護を切られて自殺する日本
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載②
簡単に首を切れない米国 無理やり首をきる日本
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載③
非正規社員の立場を守るオランダ 物件費として扱う日本
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載④
住宅ローン破綻で家を失わない米国 追い出される日本
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載⑤
失業者に寛大なドイツ 冷徹な日本


ゲンダイ 2009年12月2日(1日発行)
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載①ジャーナリスト 矢部武
やべ・たけし 1954年、埼玉県生まれ。米アームストロング大で修士号取得。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」東京支局記者等を経てフリーに。著書に「世界で一番冷たい格差の国・日本」(光文社)など。

手厚い生活保護がある米国、保護を切られて自殺する日本

 厚生労働省が先月、日本の相対的貧困率は2007年調査で15・7%だったと発表した。およそ6人に1人が貧困ということだが、これはOECD加盟30力国の中で4番目に高い数字だ。実は、日本の貧困はずっと以前から深刻な状況にあったが、自民党政権はそれを隠し続けてきたのである。先進国で一番冷たい”貧困大国ニッポン”の実態を5回にわたってリポートする。

 日本を冷たい社会にしている大きな原因は、貧者・弱者を救済する社会システムが整っていないことだ。
 「米国は弱肉強食の市場主義で冷たい」とよくいわれるが、私が取材した限りでは、日本の方がずっと冷たいと思う。
 米国は政府の福祉機能は小さいが、民間非営利団体 (NPO)が大きな力を持ち、貧者・弱者の救済活動を行っている。実際、米国のホームレス支援センターなどを取材すると、シェルター、食事提供、雇用支援、医療ケアなどをまとめて行う支援体制に驚かされる。
 カリフォルニア州サンフランシスコにはホームレス支援情報を配信する”ホームレスネット”があるが、これを見ればどこでどんな支援が受けられるかすぐに分かる。市内にはシェルターや食事などを提供している団体が30~40力所もあり、多くは寄付や助成金などで運営されている。
 日本でも路上生活者への炊き出しなどを行うNPOが増えているが、その規模や支援内容は米国の比ではない。ひとつはNPO法に寄付控除がなく、資金や人材が集まりにくくなっていることがある。友愛社会を掲げる鳩山政権にはその辺を改善し、NPOの活動を盛り上げてほしいものだ。

役所がハジく水際作戦も

 生活保護の受給条件も日本の方が厳しいように思う。米国で問われるのは個人の受給資格だけだが、日本では家族の所得などが事実上調査される。家族に頼めないから役所に行っているのに、なかなか助けてくれないのだ。しかも、役所が不正な方法で生活保護の申請・支給を拒否する”水際作戦”まで行われ、揚げ句に自殺者が相次いでいる。こんなことをする国が ”世界第2の経済大国”とは寂しすぎないか。「米国は冷たい」といわれる割には、生活保護制度はけっこう整っている。18歳以下の子供の母子家庭を対象にした貧困家族一時扶助(TANF)、病気・障害などで働けない人への補足的所得保障(SSI)、最下層の貧困者へのフードスタンプ(食料配給券)などだ。TANFとSSIを合わせた受給者は1OOO万人を超え、日本の生活保護受給者 (約162万人)よりはるかに多い。また、フードスタンプの受給者は約3000万人もいるが、米国政府は彼らが餓死しないように最低限の面倒を見ているのだ。
 日本の問題は生活保護の申請を難しくしているために、本来もらえるはずなのにもらえない漏給者が何百万人もいることだ。それは先進国で自殺率が最も高いことと無関係ではないだろう。(つづく)

ゲンダイ 2009年12月3日(2日発行)
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載②ジャーナリスト 矢部武
やべ・たけし 1954年、埼玉県生まれ。米アームストロング大で修士号取得。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」東京支局記者等を経てフリーに。著書に「世界で一番冷たい格差の国・日本」(光文社)など。

簡単に首を切れない米国 無理やり首をきる日本

 東京・日比谷公園の派遣村に仕事も住まいも失った人たちが大勢駆けつけてから、もうすぐ1年になる。が、この間、非正規社員の待遇差別などの問題は、ほとんど改善されていない。なぜ、労働者を人間扱いしない企業の横暴、違法行為が許されてしまうのか。
 日本では、社員の解雇について「米国企業は簡単に首切りしている」というイメージがあるが、それは事実ではない。
 たしかに米国は解雇が自由だが、不当解雇や待遇差別を禁じた厳しい法律があり、企業はそう簡単には首切りできない。少なくとも日本企業のような乱暴な首切りをしたら、企業は不当解雇で訴えられ、莫大な賠償金を強いられるだろう。現に、在米日本企業の多くはかつて米国人社員から雇用差別で訴えられ、億円単位の賠償金を払っている。
 米国企業は通常、解雇する社員に理由をきちんと説明し、再就職の支援も行う。個々の怒りや不満を最小限にするように努めるのだ。

陰湿な退職追い込みを正当化

 日本企業は、社員に陰湿に退職を追っておきながら、「解雇権が認められていないから」と正当化する。だが、それは違うだろう。
 日本でも「整理解雇の4要件」など合理的な理由があれば解雇はできるし、卑劣なやり方で人員削減をするのは許されない。日本企業は雇用の安全網を整備すべきだったが、それを怠ってきたのだ。
 日本企業は90年代後半ごろから、非正規社員を増やし始めた。そして小泉政権下で製造業派遣の解禁など規制緩和が進み、派遣社員が急増した。非正規雇用間題は米国にもあるが、日本の特徴としては、待遇差別があまりにひどいこと、それに労働組合の支援がほとんどなかったことがあげられる。連合は長い間、正社員の保護を優先し、非正規社員を守ってこなかった。
 一方、米国最大の労働組合AFL-CIOは非正規社員の組合加入を促進し、正社員と協力しながら、待遇差別改善に取り組んだ。米国の食品スパー、宅配、小売りなどの業界ではパート社員が多いが、彼らは組合の支援を受けて団体交渉を行い。均等待遇を勝ち取ってきた。
 たとえば、宅配最大手のUPS(本社ジジョージア州)のパート社員は20年以上前から、正社員と同等の賃金と社会保障(健康・雇用保険、年金、有給休暇など)を得ている。ちなみに同社の取締役のほとんどはパート社員から始めた人たちというから驚きだ。
 日本では正社員と同じ仕事をしている非正規社員の賃金が、半分か3分の1ぐらいに抑えられている。米国で企業がそんなことをしたらただでは済まないのだ。(つづく)


ゲンダイ 2009年12月4日(3日発行)
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載③ジャーナリスト 矢部武
やべ・たけし 1954年、埼玉県生まれ。米アームストロング大で修士号取得。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」東京支局記者等を経てフリーに。著書に「世界で一番冷たい格差の国・日本」(光文社)など。

非正規社員の立場を守るオランダ 物件費として扱う日本

 欧州でも非正規雇用の問題は存在する。しかし、日本と異なるのは、EUが1997年にパー卜社員に正社員と同等の賃金、社会保障などを与えるように求める指令を出すなど、早くから対策を講じてきたことだ。その結果、非正規社員の待遇差別の改善が進んだ。
 オランダでは非正規社員の割合が52%と非常に高いが、彼らは正社員の平均95%の賃金を得ているので問題ないという。また、派遣社員も正社員と同じように失業給付を受けられる。職業訓練所に通い、技能を身につけて正社員をめざすこともできる。現に毎年、派遣社員の約3割が正社員として雇用されている。
 このような雇用の安全網は最初から用意されていたわけではない。
 オランダでは90年代半ばに派遣社員の待遇差別が大きな社会問題となった。そこで政府が指導力を発揮し、企業側と組合側の代表を招いて徹底的に議論させた。そして企業に派遣・パート社員などの雇用を認める一方で、非正規社員に同一賃金、十分な社会保障、職業訓練などの提供を義務づける法律を制定したのである。
 これによって正社員が週3、4日のパート社員になるなど働き方が多様化し、同時に新規雇用をつくり出すワークシェアリングも進んだ。

役にたない改正パートタイム労働法

 このスタイルは経済危機の対応にも役立っているという。景気後退になると、企業はすぐに非正規社員から首切りしようとするが、大切なのは、すべての社員が痛みを分かち合い、かつ経営側も協力して危機に対応することなのである。金融危機をきっかけに、日本の大手企業がこぞって非正規社員を大量に解雇したのとは大きな違いだ。
 日本では雨社員の88・7%が年収200万円以上であるのに対し、非正規社員の77%は年収200万円未満というひどい賃金差別が存在している。
 OECDは06年に「所得の二極分化を防ぐために非正規社員の賃金・待遇差別の問題に取り組むべきだ」と提言。それを受けてか、08年4月の改正パートタイム労働法に「同一労働をしているパート社員を労働条件面で差別してはならない」との規定が盛り込まれた。ところがその要件が厳しすぎて(仕事の内容、転勤条件などが正社員と同じであること)、実際に適用されるパート社員は数%とされる。これではあまり役立ちそうもない。
 鳩山政権には、すべての非正規社員の均等待遇を義務づける法制定を含む思い切った対策が求められている。(つづく)



ゲンダイ 2009年12月5日(4日発行)
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載④ジャーナリスト 矢部武
やべ・たけし 1954年、埼玉県生まれ。米アームストロング大で修士号取得。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」東京支局記者等を経てフリーに。著書に「世界で一番冷たい格差の国・日本」(光文社)など。

住宅ローン破綻で家を失わない米国 追い出される日本

 住宅ローン破綻の対応を見ても、日本は基本的に借り主に冷たい。米国では、NPOがサブプライムローン破綻で家を失いかけた人たちの救済にも力を入れている。
 もちろん危険な住宅ローンを組んだ責任は消費者にもあるが、考えてみれば住宅ローンに"
偽りの価値”をつけて証券化商品に作り替え、高利回り商品として販売した銀行の責任の方がはるかに大きい。そこで全米各地のNPOが立ち上がり、住宅所有者と銀行との間に入って差し押さえを防止する支援に乗り出した。同時に、「政府は銀行だけでなく、住宅所有者も救済すべきだ」と訴えたのである。
 これを受けてオバマ政権は09年2月、2750億ドルの大規模な住宅支援策を打ち出した。第1の柱は約400万~500万人の住宅ローン利用者を対象に低利ローンヘの借り換えを支援すること。第2は住宅を差し押さえられた300万~400万人への支援で、750億ドルの補助金を使って貸し手に金利引き下げを求めた。
 また、一部の自治体は、NPOや地域住民の要請を受けてモラトリアム条例を導入した。カリフォルニア州のバレーホ府議会は08年10月、住宅所有者に1OO日間の支払い猶予を与えるよう銀行に求める条例を制定。その結果、住宅差し押さえの急増に歯止めをかけることができたという。このような支援のおかけで、家を失わずに済んだ米国人はたくさんいる。

家を失っても残る借金

 借り主の法的保護という点でも、日米には大きな違いがある。米国では、住宅口ーンを払えなくなったら担保の家を金融機関に返せば借金はゼロになる(借り主責任限定型のノンリコースローン)が、日本では借り主が家を失っても借金(ローン残高から売却代金を差し引いた額)を払い続けなければならないのだ。
 日本では、昨年の金融危機以降、競売物件が増えている。今後はさらに住宅ローン破綻が急増するとの懸念もある。不況で仕事を失ったり、収入が激減したりする人が増えているからだ。
 果たして政府は、適切な対応を取れるのか。先日、亀井金融担当人臣の「返済3年猶予のモラトリアム」発言で物議をかもした中小企業等金融円滑化法案が成立した。しかし、「借金返済に困窮している中小企業や住宅ローン利用者を対象に金融機関に借金の猶予を促す」としているものの、条件変更に応じる基準など具体的な運用については、ほとんど示されていない。結局、銀行などの強い反発があり、金融機関に"丸投げ”する形になってしまったからであろう。これでは効果はあまり期待できそうもない。(つづく)


ゲンダイ 2009年12月9日(8日発行)
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載⑤ジャーナリスト 矢部武
やべ・たけし 1954年、埼玉県生まれ。米アームストロング大で修士号取得。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」東京支局記者等を経てフリーに。著書に「世界で一番冷たい格差の国・日本」(光文社)など。

失業者に寛大なドイツ 冷徹な日本

 正規、非正規を問わず、労働者が人間的な生活を維持していくには失業した時の最低限の生活保障が必要である。しかし、日本の労働者は、なかなかその保障が得られない。
 09年3月に国際労働機関(ILO)が発表した無保険失業者に関する報告書によれば、日本で失業給付を受けていない失業者の割合は77%で、先進国のなかで最悪の水準だという。
 しかも、失業給付期間は驚くほど短い。自己都合の失業者は雇用保険の加入期間が10年未満なら3ヵ月、20年以上でも5ヵ月しかもらえない。
 一方、ドイツでは、1年以上働いた人の失業給付は6ヵ月、2年以上は12力月、3年以上は18力月である。これは非正規社員にも適用されるという。
 また、ドイツでは、失業給付が切れても再就職できなかった人や最初から失業給付のない人などを対象に「失業給付2」が設けられている。食費や家賃など最低生活を維持するための扶助で、仕事が見つかるまで支給される。単身者で月350ユーロ(約4万6000円)だが、これがあれば非正規社員が仕事を失っても路上生活を強いられることはなさそうだ。

有給は6週間OK

 ドイツが労働者の社会保護を強化したのは歴史的なことも関係している。マルクス主義の思想が広がった19世紀後半、当時のビスマルク宰相は「失業や飢えの不安をかかえた労働者に社会保障を与えなければマルクス革命が起こるかもしれない」と考え、社会保護政策を導入したという。
 この考えは今日のドイツ社会でも生きている。EUは労働者に年4週間の有給休暇を与えるよう加盟国に指令を出しているが、ドイツでは労働組合が「4週間では不十分だ」として経営側と協議し、6週間の有休を取れるようにしたという。1週間の有休を取るのも大変な日本の労働者からすればうらやましい限りであろう。
 労働者の社会保護を強化すれば生産性や競争力が高まり、同時に、格差の少ない社会を実現できる。そう欧州の例は示している。日本の社会保障給付費の対GDP比はOECD29力国中23位(03年)と低いが、上位はほとんど欧州諸国が占めている。米国は26位と日本を下回るが、NPOが福祉機能の役割を担っている。
 こうしてみると、日本はやはり先進国一の冷たい社会ではないかと思われる。詳しくは拙著「世界で一番冷たい格差の国・日本」を参照していただきたい。
 (おわり)



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2009年12月11日 Posted byあはは星人 at 11:17 │Comments(0)★ニュース★

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